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hacchiさんの第一印象は、クールでハードボイルド、真面目で、時々お茶目だけど、基本的に無愛想な人。完全に喫煙者のステレオタイプに引っ張られている。

故実況をやっているのだろう、と不思議に思った。なんとなく実況と結びつかない人だと思ったからだ。個人実況も長いブランクを設けながらの投稿となっており、本数は多くない。扱うゲームは難易度の高いマイナーな作品ばかりだ。この時点で、彼はこだわりが強く、変わり者なんだろうと感じた。

ナポリの男たちが結成される前は「亀戸組」というグループで活動していたことを知り、もしかして実況自体にはそこまで執着しておらず、今は仲間内で楽しむことを目的としてるのかな、とも思った。しかしそれは大間違いだった。こんなに実況に思い入れが強い人はおそらく他にいないだろう。

とにもかくにも、hacchiさんはイメージイラストが好みだったというヨコシマな理由もあり、この人好きかも!と思った。いわゆる「推し」になったのである。

当初、ナポリニコニコ大百科にはhacchiさんを「常識人」のように書き表してあったのだが、チャンネル開設前の配信を聴いていた私は「あんなに場を凍らせる発言を連発する人、常識人か?」と思っていた。それで言えばshu3の方がよっぽど常識人である。とはいえ、アークを更新している時期はまだ比較的クールな人だと思っていた。しかしある時、すぎるさんがチャンネル配信にて「hacchi案外しょーもない、メンタル中学生」と言っていたのである。それだ!と思った。この人は斜に構えたアンニュイおじさんと見せかけて、根が明るくて単純で子供っぽい人なのだと。すぎるさんの「しょーもない」の言葉が暗に示すのは、hacchiさんの育ちの良さのような気もする。hacchiさんは配信でよく「悔しい」という言葉を使う。というのも、あんまり物事を諦めることをしたがらない人だと思うのだ。自分にも周りにも妥協を許さない負けず嫌い。すぎるさんの表現は非常に言い得て妙である。

チャンネル配信を聴いていると、hacchiさんは生粋のクリエイター気質だと感じるようになった。彼は実況動画だけに留まらない、モノづくりに特化した人だ。普段の会話ではあんなにとんちんかんでハラハラするところがあるのに、何かを創作してきた時だけはナポリ1の安心感を発揮している。それも真面目さ故に、視聴者に受けるものを熟考する気質があるのかもしれない。

以前hacchiさんは会員限定配信にて500円の服を所持していると発言し、また後日8万のコートを購入したことがあると話していた。私はこの話を、hacchiさんを露骨に体現するエピソードだと思っている。hacchiさんは凄くちぐはぐな人間だ。とりわけ、本人の意にそぐわず実況界で孤高の存在として扱われていたこと。夜会ですぎるさんに「2008年当時、hacchiは天上にいた」と言われていた。今やこんなに仲間思いで構われたがりな人が、当時は孤独な金字塔を打ち立てていたのだ。いつもどことなく不器用だと思う。けれどきっともう、孤高ではない。蘭たんが企画し、すぎるさんから誘われたナポリの男たちの一員として、『古参実況者が熱い2018年』(蘭たんTwitterより)のムーブを自身の手で生み出し始めている。

それ以外にも、ちぐはぐだと思うところは沢山ある。背丈が大きいらしいが、物事の捉え方が素直すぎて子供っぽい。武骨なのに、かわいらしい絵で物語を綴るのが好きだ。発言にデリカシーが無いのに、非常に繊細で傷付きやすい。卑屈なネガティビストかと思わせておいて、単純で自信家だ。浴槽で丸まって一人落ち込むのに、友達や仲間が大好きな人情屋だ。健康オタクのように見えて、喫煙者だ。異様な照れ方をする癖に、人に自分の気持ちを真っ直ぐ伝えたがる。バカ真面目な常識人風の、愛すべきしょ~もない男なのだ。

知れば知るほどわけがわからない人だと思う。だからこそこのタイミングで、もう一度個人実況に復帰して欲しい気持ちもある。hacchiさんがどんな人間なのか、どんなゲーム実況者なのかということを、改めて我々視聴者に知らしめて欲しいのだ。

初めてからこんなにも印象が変化していったが、今でも変わらずhacchiさんが私の一番の「推し」だ。ナポリ初期の配信を聴き返すと、hacchiさんに対する懐かしい気持ちが蘇る。今より音質が悪いマイクで、ボソボソ悪態をつきながらマジレスしていた頃。もう彼をクールだと思うことは無くなったけど、面倒臭くてしょ〜もないおっさんのことは日に日に大好きになっていく。

そんなhacchiさんの個人実況で好きな動画は「謎解き死にゲー The Immortalを実況プレイ」だ。この動画をもって、実況プレイ動画というジャンルで初めてニコニコ動画総合ランキング1位を獲得することとなる(2008年6月)。彼のコアなゲームチョイス、理不尽なゲーム性に立ち向かおうと躍起になる様をラフに楽しめるシリーズだと思う。

hacchiさんの実況動画を見ると、世の中にはこんな面白いゲームが存在していたのか、と驚くことになる。そして彼が、ゲームとゲーム実況をこよなく愛する理由が分かるような気がしてくるのだ。

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